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築30年のマンションに迫る危機! 考えるべきは「今」だ

公開日:2019/02/18
最終更新日:2019/11/18


これから日本の分譲マンションの半数が築30年を迎える、もしくは30年を超える時代がやってくる。
2025年あたりには、日本全体のマンションの平均築年数が30年を超えてしまうからだ。「築30年」を一つの節目として、老朽化や資金不足など、どんな危機に見舞われるのか、長期修繕計画を題材に考えてみたい。

知っているようでちょっと曖昧。 「長期修繕計画」って何?
マンションも、老いる。
手を施さなければどんどん経年劣化してしまうマンションの対策として、国土交通省は長期修繕計画(以下、長計という)のガイドラインを設けている。その「長計」とは一体何なのか。ここで少しおさらいしておこう。
建物や設備の劣化に対し、いつ、どのような工事が必要で、どのぐらいの費用が発生するかを把握するための指針――それが長計だ。
ガイドラインでは、新築分譲マンションの場合、まずは築30年目までの修繕スケジュールを設定するとしている。とはいえ30年間、その計画通りに実行して良いかどうか不安なものだ。そこで、建物や設備の「修繕周期」「施工の方法」「単価」などを、概ね5年毎に見直すとも示されている。要は、築5年で一旦見直し、新たにその先の35年目までを策定するという具合だ。この要領で考えると、築30年目であれば、築60年目までの修繕計画を落とし込んだものを策定することになる。
大掛かりな工事となるエレベーターの更新を含め、新築当初に計画した修繕工事をほぼ終了するタイミングが30年目。となると、また同じ周期で、30年分の長計を60年目まで作りこめば良いと思う人もいるかもしれないが、それは間違い。建物の劣化具合や資金など、状況・条件と照らし合わせ細かに設定する必要がある。
※ちなみに上記の例外としては、サッシュや手摺等の交換で、36年目に設定されている。

老いは建物だけじゃない!
年を取るのは建物だけではない。人間もだ。
例えば、あなたは35歳で夢の新築マンションを購入したとする。わが子をマイホームで育み、やがて子供たちも独立。そして30年の時が過ぎ、夫婦ふたりの老後は家賃の心配もなく「なんて恵まれた人生なのだ」と幸せを噛みしめる。あなたは65歳の年金受給者となったのだ。
65歳なら、まだ貯蓄や退職金でゆとりがあるだろう。しかし、これから更に30年先の長計を策定するとなると、建物は築60年、そして30年後のあなたは、95歳になっている。
実は、こうした状況で積立金が不足し、頭を抱える管理組合は多い。最初のころはなんとかやりくりできたが、築30年の壁を超えると入居者の多くが年金受給者となる。建物の劣化が進んでいても、積立金は値上げしたくてもできない。
結果、以下のような手法で長計を騙し騙し調整していかなければならない。

  1. 計画修繕の部位や範囲を減らす
  2. 機能劣化や社会劣化に対応する改良工事を削減する
  3. 工事の周期を引き延ばす
  4. 計画修繕から経常修繕に移行する(予防保全から事後保全に回す)
  5. コンペなどを行うことを前提に工事費を数パーセント減額する

数字だけに囚われてしまっての帳尻合わせ……。それではあまりにも危険すぎる。省くにしても、専門家の意見も参考に、根拠をもってカスタマイズすべきだろう。

「建物と人の老い」を克服するには!?
建物は痛む、しかし修繕費用はない……。だが、さらに追い討ちをかけて頭を痛めるのは、これだけではないのだ。
マンションの機能や性能は日進月歩、当然、後から建設されたマンションの方が性能は高い。この性能の差を機能劣化という。一例をあげれば、今のマンションなら当たり前になった「バリアフリー」。老後の生活を想定し、あらかじめスロープが設置され車椅子でも段差が気にならない、また廊下に手摺が取り付けられている。30年前では、そんな配慮がされたマンションは少ない。機能があるないによっての住み心地の差は、建物の価値にも大きな影響を及ぼすことになる。
国土交通省のガイドラインでは、築30年以上など一定の経年に至ったマンションのために「マンションのビジョンの検討」というキーワードが埋め込まれている。
ここでいう「ビジョン」を解説すると、「生活環境の改善のための性能・機能の付加、マンションの再生や耐震補強、さらには建替えも視野に入れた検討をせよ」。
ガイドラインは極めて簡潔にしか書かれていないが、それぞれのマンションの事情に合わせ深掘りすべきと示唆している。
30年目からの長計は、建物と人の老いを克服するためのアイデアが必要になる。そのための準備は、後回しにはできない。まだ間に合う「今」考えるべきことなのだ。

 

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